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チャパンを羽織る人物形土器 アフガニスタン、ポストササン、紀元7世紀、土器 高さ 23.5 cm
この人物形土器は、ササン朝ペルシア美術の強い影響を受けそのデザインを受け継いだソグディアナと文化的一体を成していたアフガニスタンの北部から出土されています。その土器の形や模様は豊かな想像力に基づいたもので、この土器のように器全体が民族衣装のチャパンを纏った人物や鳥を象るものもあれば、胴体は一般の壺で注口は動物や鳥や人物の頭部をかたどるものも、全く普通の壷の形をしたものもあります。
土器の絵付けは、ササン朝ペルシアで生まれ、ソグディアナの文化によって変化されたモチーフが見られます。ササン朝のデザインは幾何学文様や植物と動物のモティーフの組み合わせでした。ササンとソグドのデザインといえば、連珠文が代表的です。直線と円形に並べられたドットの連珠文やハートの組み合わせからなるローゼット、四葉、菱形などの模様が王冠や装身具の飾りに由来すると言われています。鳥のモティーフは鴨、孔雀、鶏、鷲などで、動物は鹿、猪や有翼の羊と馬と空想動物のセンムルヴなどです。 |
デザインに用いられた殆どの動物はペルシアの伝説に登場し、別々に考えられないほど密接だった宗教と王権を象徴する存在でした。但し、ササン朝の伝統の影響受けたソグドでは、織物や器などのデザインに連珠文と空想動物などを用いても、同じ図像が斬新で躍動感あふれるデザインに生まれ変わりました。 一方、リボンのモチーフは更にパルティア時代(紀元前250年頃~紀元224年)に遡り、拝火教の神々から王権を授かる王のイメージで王冠についていたリボンに由来していると思われます。
この人物の頰に見られる濃い色は、髭を表しているか、それとも刺青だったかは定かではありません。首飾りは現代の地元の装身具に通じる大きなもので、アフガニスタンで採れる貴石や貴金属を思い浮かばせます。 |
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