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インダス文明


紀元前4千年紀からインダス河流域に栄えたインダス文明は最古の四大文明の一つです。以前からインダス河流域や現在パキスタンのバルチスタン地方の丘陵地帯に点在していた集落は彩色土器や銅の道具を作る文明の発祥の地でしたが、急な人口の増加や大きくなった生産規模が引き起こした社会構造の変化によって都市文明が生まれました。モヘンジョ・ダロやハラッパ両遺跡は高いレベルの都市文明の最も有名な例です。都市の基礎は焼いて固めた土の煉瓦で作られており、風呂やトイレの設備があった住宅街、貯蔵庫、工場のある地帯や防御用構築物がありました。
インダス文明の土器は二種類ありますが、両方とも粘土が粒子の細かくて質の高い材質が用いられ、轆轤で形作られていました。ホズダルというバルチスタン地方の遺跡から出土しましたこの土器は、相当な厚みがあって、描かれたデザインは茶色がかった赤色のアクセント以外黒色で描かれており、様式化された山羊の2列と2種類の幾何学紋様です。山羊の形は様式化を極め、幾何学的な帯模様を思わせます。確かでかつ陽気な筆捌きが巧妙な技術を持ち合わせる職人を想像させます。
インダス文明の土器は二種類ありますが、両方とも粘土が粒子の細かくて質の高い材質が用いられ、轆轤で形作られていました。
パキスタン、ホズダル出土、紀元前3千年紀、彩色土器、高さ 14 cm

ホズダルというバルチスタン地方の遺跡から出土しました上の写真の土器は、相当な厚みがあって、描かれたデザインは茶色がかった赤色のアクセント以外黒色で描かれており、様式化された山羊の2列と2種類の幾何学紋様です。山羊の形は様式化を極め、幾何学的な帯模様を思わせます。確かでかつ陽気な筆捌きが巧妙な技術を持ち合わせる職人を想像させます。
インダス文明の土器を飾る他の動物紋様は、コブ牛・豹・鳥などです。豊穣多産や力強さを象徴していた雄牛や豹が聖なる木(ハオマ樹)から生命をもらうような場面も描かれています。聖なる木のモティーフは、神・王・怪獣や動物がハオマ樹に触れている儀式の場面が度々表されている古代メソポタミアに由来します。インダス文明における聖なる木は菩提樹です。
興味深いことに、菩提樹は古代から重視されてインダス文明の土器に描かれてきましたが、2千年も経った同じ地で仏陀が悟りを開いたのも菩提樹の下と伝えられています。
モノクロの土器と違ってもう一種の色彩土器は非常に薄くて軽く出来ています。器は先ず黒色で模様の輪郭が描かれ焼かれてから、黄色・白・青や赤の顔料で多色に彩色されていました。写真には、ホズダルから100キロ北方へ位置するメールガル遺跡出土の彩色土器です。幾何学文様・魚・鳥・牛・カモシカ・蠍・怪獣・グリフィンなどです。菩提樹は、木全体の表現はなく、単独の葉しか描かれていません。
加彩土器
メヘルガル出土、紀元前3千年紀、高さ 11 cm

加彩土器
メヘルガル出土、紀元前3千年紀、高さ 6.5 cm

加彩土器
メヘルガル出土、紀元前3千年紀、高さ 10.5 cm

インダス文明は土器の並びにテラコッタの偶像や動物像が特徴的です。地母神像とも言われる偶像は、7期に区切られる数千年の間にかなりの変化を遂げて行きましたが、その意味合いはいつも多産と命の力でした。
6千年紀半ばに当たる発祥時に地母神は、二つの長めの円錐を台で繋いだような簡単な姿でしかありませんでした。しかし、紀元前4千年紀半ばの4期にはもう顔を思わせる形があって、地母神らしい豊かな乳房やお尻が形成され、装身具まで表されていました。次の5期に顔に当たるところに鼻や目を表す穴のある仮面が貼られたことが重要な変化です。そして、3千年紀の6期には装飾性極まる髪形が流行しました(右の写真)。
地母神像
地母神
メヘルガル出土、紀元前3千年紀、高さ 6.5 cm

印章
モヘンジョダーロ出土、紀元前3千年紀
7期に男性の偶像も作られるようになったことは何かの社会的変化を反映していると思われます。また赤子を抱く偶像も現れましたので、命を生み出す意味合いに母性・父性・子育ての概念が加わったと考えられます。偶像の髪や目は黒く、装身具は黄色に着色され強調されるようになりました。
上記の長い発展過程の内3期だけに偶像は全く作られておらず、一方、雄牛像が数多く創作されていたそうです。
雄牛以外のインダス文明の動物像は、鳥・豹・羊、魚などの塑像があります。無垢の塑像もあれば、空洞で焼く時に破裂しないため丸い穴を開けられたものもあります。一つの鳥の塑像の中から隅になった種が出て来ました。


インダス文明の芸術の重要な分野は数多く出土する印章です。動物(雄牛、犀、象)、空想動物(一角獣)や人間か神の姿に、いくつかの未だに解読されていないインダス文明の象形文字が表されていました。印章は凍石などから裏面に鈕のある四角い形をとり、表に模様を彫った後その表面にオカヒジキから抽出したナトリウムの含水炭酸塩を塗りました。焼くことによって白い表面に仕上がります。同じ技術は紅玉髄に線で装飾模様を入れるため用いられていました。
牛の土偶
鳥の土偶
紀元前2千年紀の初めからインダス文明が次第に衰退し、文化的な統一性が失われる一方地域ごとの特色が強くなり始めました。

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