|
|
|
オイノコエ ガラス、東地中海沿岸、紀元前5-4世紀 高さ 15cm
ガラス工芸は紀元前15世紀に始まり、発祥地としてはメソポタミアとエジプトが挙げられています。最初のガラスの器は、サンドコア(土の芯)に融かしたガラスを巻きつけるかあるいは型で形成する技法によるものでした。 こちらのオイノコエはサンドコア技法によって作られた香油瓶です。名称はギリシャ陶器の酒器に由来し、注ぎ口の三つ葉の形が特徴です。首の部分や、把手、土台は別に形成され胴体に付けられたものです。器の紺色の胴体に見られる白と黄色の模様はガラスがまだ完全に固まっていない内に両色のガラス糸を巻き付けてから細い棒を上下に引くことによって施されました。 香油は古代社会の上流階級が身体に塗っていた日用品でした。土器、陶器や青銅と違ってガラスは化学反応を起こさず、器の壁に油が浸透しないので優れた素材として香油に使用されるようになりました。香油瓶の生産のみならずガラス生産全体において紀元前1世紀後半に発明された吹きガラス技法は革命的な技術進歩でした。
|
吹きガラス技法は形の自由化や生産の加速に繋がりました。「ローマングラス」という表現が生まれるほどローマ期はガラス生産の最盛期でした。ガラスの使用が広がり、ローマングラスの大きな需要は香油瓶でしたが、食器類や骨壷までガラスで作られるようになりました。但し、古代なりの多量生産が可能になってガラス容器は広く普及したと言っても使用者は位の高い社会層で、ガラスはやはり貴重品でした。 |
|