地母神は豊饒多産に関する人の思いを託され、古代世界の各地で独自に生産されていました。子供を授かる願いかあるいは子供が無事に生まれたお礼に作られていました。初期の地母神は妊婦のようにお腹が大きく、お産がし易いように腰も大きく、子供が生まれたらお乳を与えるため胸も大きく表されていました。一方、顔の特徴が全くなかったり、表現が乏しく作られたりしていました。時代の流れとともに地母神が個性的になり、目や鼻がはっきり表され、時代や地域特有の様式の中で顔や髪型、装身具などで区別されるようになりました。
この地母神は下部の広がる筒状の長い下半身と広い肩幅、胸の下に手を当てたポーズが特徴的です。但し、胸を強調する同じジェスチャーが各地の地母神に共通していますし、高く尖った鼻と粘土の粒を張り付けて穴で瞳を表すことが他の文化にも見られます。表現手段が共通していても地域特有の雰囲気を持つことが地母神の不思議です。
地母神、メソポタミア、紀元前2千年期、テラコッタ、高さ:18.5 cm

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