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葡萄唐草文・葡萄酒作り図レリーフ ガンダーラ、紀元3世紀、片岩 幅 54.5 cm 高さ 16 cm
このレリーフは、大部分が力強い曲線で描かれた葡萄の蔓に表現に鋭いタッチを避ける丸みを帯びた葡萄の葉や豊富な葡萄の房から成る葡萄唐草文です。しかし、一見装飾的な要素の強いこの作品に歴史的な事実が秘められています。それは古代ギリシャから伝わったと言われている葡萄酒作り技術です。レリーフの向かって右端に2人の人物が表されており、図が右から左へと展開しますから、先ず見えるのは葡萄汁を越して発酵する容器に入れる場面です。その側に立っている人物は、彫刻に少々の欠損がありますが、左肩に革袋を担ぎ、右手に碗を持っています。 |
一方、横を向いているもう一人の人物は、天井に片手で踏ん張り、片足で地面に置いてある大きな容器を踏み付けています。発酵過程を終えた容器から蓋を外す場面です。中に溜まったガスで蓋が空中に飛ばされないように防いでいます。このレリーフの物語は更に右手にあったであろう別のレリーフに始まり、おそらく葡萄を踏み潰し、葡萄汁を絞り出す場面を表していたと考えられます。レリーフの片隅に記録された当時の生活の非常に興味深い貴重な作品です。 |
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